下北弁では「わ」の他に「わい」「わら」を使います。「わい」は年齢・男女関係なく使い、「わら」は主に中高年の女性が用います。現在の下北弁では、東北各地でみられる「おら」「おれ」をほとんど使われません。かつて下北でも使っていた痕跡は民話にみられる程度です。 青森県の各方言間で比較すると、「わい」を使うのは、青森県内では下北弁だけということがわかります。 共通語 下北弁 南部弁 津軽弁 私 わい わら わ わぁ おら おれ わ おら 注)北海道道南にある戸井町でも「わい」が使われているらしいとの情報あり。
下北弁では「わ」の他に「わい」「わら」を使います。「わい」は年齢・男女関係なく使い、「わら」は主に中高年の女性が用います。現在の下北弁では、東北各地でみられる「おら」「おれ」をほとんど使われません。かつて下北でも使っていた痕跡は民話にみられる程度です。
青森県の各方言間で比較すると、「わい」を使うのは、青森県内では下北弁だけということがわかります。
下北弁特有の丁寧な表現です。若年層よりも年輩層での使用が多くみられます。たとえば、「うぇの方さも出でかさまい」と言うと、「うちの家の方にもおいで下さい」の意味になります。下北弁の中でも、上品で美しい表現の一つです。先頃では、実際に「さまい」を使っている人を見かけないと書いてある方言書籍もありますが、実際、私の周囲ではまだ使っております。 下北弁には、以下の表にあるような三段階の丁寧表現があります。かつては、「〜さいん」を入れて、四段階あったようです。
注1)「〜しなよ」「〜してちょうだい」の「〜せ」は西通り、「〜さい」は北通りで多く用いられています。 注2)人によっては「〜さまえ」と発音する人もいますが、少数です。
今では、「にし」は年輩の方の言葉となりつつあります。若い年代の人の中には「にし」を知らない人もいるようです。「にし」は、どちらかといえば女性の使う言葉という感じで、「さまい」と並ぶ、上品で美しい表現です。下北弁と南部弁との比較をすると以下の表のようになります。 共通語 下北弁 南部弁 あのね あのにし あのせにし あのなっす あのなす あのなっさー そうだね ほ(ん)だにし ほ(ん)だなっす ほ(ん)だなす ほ(ん)だなっさー 「にし」は、上北郡野辺地町でも用いており、おそらくは、野辺地町が「にし」の南限になると期待されます(確認中)。 また、「にし」は疑問の表現で用いることもあります。例えば、以下のような使い方をします。 共通語 〜か? 〜ですか? 〜でしょうか? 良いか いいが? いいべが? いいべがにし? どうか どんだ? どんだべが? どんだべがにし? 「にし」を用いることによって、柔らかい疑問表現になります。
今では、「にし」は年輩の方の言葉となりつつあります。若い年代の人の中には「にし」を知らない人もいるようです。「にし」は、どちらかといえば女性の使う言葉という感じで、「さまい」と並ぶ、上品で美しい表現です。下北弁と南部弁との比較をすると以下の表のようになります。
「にし」は、上北郡野辺地町でも用いており、おそらくは、野辺地町が「にし」の南限になると期待されます(確認中)。
また、「にし」は疑問の表現で用いることもあります。例えば、以下のような使い方をします。
「にし」を用いることによって、柔らかい疑問表現になります。
「〜(する)べ」という東北地方、北海道、関東で用いられている表現があります。下北弁では「〜べ」の他に「〜べし」、「〜びゃ」「〜びゃし」を使います。例えば、
「遊びさ行ぐびゃ」(遊びに行こうよ) 「まま食びゃし」(ご飯を食べましょう)
といったように使います。「〜びゃ」「〜びゃし」の間での使い分けはありませんが、「〜びゃし」の方がやや強い促しになります。
驚いたり、呆れたり、怒ったときに使います。青森県の各方言間で比較すると 共通語 下北弁 南部弁 津軽弁 おやまー おっ! あっ! うわっ! あらま どうしましょ など あいっしぇー あいえー しゃぁー やいやー いやっ (大間) じゃいーし (大間、佐井) じゃいやいや (西通り) おいやらー おやな など じゃじゃじゃ じゃっ あっしゃー あっしゃしゃー など わいはー やいや おんろー ろぉ〜 ろぉあ〜 など 友人A.Sによる情報 佐井村矢越(やこし)では、「じゃいやいや」を使うとのこと。(2004.7.7)
驚いたり、呆れたり、怒ったときに使います。青森県の各方言間で比較すると
友人A.Sによる情報 佐井村矢越(やこし)では、「じゃいやいや」を使うとのこと。(2004.7.7)
所有を表します。「うぇのババ」「うぇの家(え)」などのように使います。英語の「Welcome」の「ウェ」と同じ発音です 。 他に「い」(曖昧母音で、口を軽く開いて)、「え」、「わほの」、「わいほの」などの所有を表す言葉があります。
所有を表します。「うぇのババ」「うぇの家(え)」などのように使います。英語の「Welcome」の「ウェ」と同じ発音です 。
他に「い」(曖昧母音で、口を軽く開いて)、「え」、「わほの」、「わいほの」などの所有を表す言葉があります。
「〜じゃ」より強い意味で使います。
「へねじゃよ」(言わないよ) 「行がねじゃよ」(行かないよ)
という意味ですが、怒ったような口調で使います。もちろん、怒って無くても使うこともあります。 さらに、「行がねじゃよ。だーへば」というように、「だーへば」がつくこともあります。「だーへば」は「誰がそうしようか、いやしない(反語)」の意味で、話者の感情がよりいっそう強調されます。
「して」は接続詞として使います。 「へったして」(だから)、 「ほんだして」(そうだから、そうなので)、 「わがらねして」(わからないので) これは県南地方で使う「〜すけ」と同じ意味です。青森県の各方言間で比較すると 共通語 下北弁 南部弁 津軽弁 〜から 〜して 〜すてぇ 〜しけ 〜すけ 〜すけに 〜はんで 〜はで たとえば、「雨 降ってらして買い物さ行がね」は「雨が降っているから買い物に行きません」となります。
「して」は接続詞として使います。
「へったして」(だから)、 「ほんだして」(そうだから、そうなので)、 「わがらねして」(わからないので)
これは県南地方で使う「〜すけ」と同じ意味です。青森県の各方言間で比較すると
たとえば、「雨 降ってらして買い物さ行がね」は「雨が降っているから買い物に行きません」となります。
方言地図をみると、「〜たって」を使うのは下北半島だけです。「〜たって」と類似したものに「〜ばって」があり、川内町や横浜町でみられます。「〜たって」も「〜ばって」同様に、九州で用いられている「〜ばってん」の系統の言葉となってます。これを青森県の各方言間で比較すると、 共通語 下北弁 南部弁 津軽弁 〜けれども 〜けど 〜たって 〜たて 〜ばって 〜ばて 〜ども 〜ばって 〜ばて 〜ばたて 例えば「お金がないけど外食した」というとき、「じぇんこねぇたって外食した」(じぇんこねぇばって外食した)といいます。
方言地図をみると、「〜たって」を使うのは下北半島だけです。「〜たって」と類似したものに「〜ばって」があり、川内町や横浜町でみられます。「〜たって」も「〜ばって」同様に、九州で用いられている「〜ばってん」の系統の言葉となってます。これを青森県の各方言間で比較すると、
例えば「お金がないけど外食した」というとき、「じぇんこねぇたって外食した」(じぇんこねぇばって外食した)といいます。