第4版 してMap 2006.9
● 橘さんからの情報
東北町北部(六ヶ所村と野辺地町の中間にあたる地域)では多くはないが、使いう。若い人でも使っている人がいる。また、野辺地にも「して」を使う人がいる。
第3版 してMap 2005.3
● 南部地方6点(野辺地町、六ヶ所村、三沢市、東北町、十和田市、七戸町)、津軽地方5点(青森市、弘前市、五所川原市、深浦町、中里町)情報を追加。
ツブヤギ
川内の祖母は「へったすけ」という言い方をしていた。「それだから」という意味だ。「すけ」といっても、明瞭な「す」「け」の音ではない。平仮名では表記しにくいのだが、「して」にかなり近い「すけ」だった。
「すけ」→「して」と変化したのか、「して」→「すけ」なのかわからないが、音が変化して分化した、近い言葉であるようだ。(推測では「すけ」→「して」ではないだろうか。あくまで推測。)
もともとは一つの言葉だったのかもしれない。だが、今では「して」と「すけ」の音は徐々に離れつつある。事実、私の発音は完全に「し」「て」になっている。自分の周囲の下北人の発音もそうだ。
日本全国の方言文法を調査し、まとめた方言地図(1989-)(1)によると、新潟の方でも「すけ」を使う地域があるようだ。「して」も「すけ」も、上方の「さけぇ」「さかい」のグループに属す言葉のようで、日本海沿いの県を東北地方に向かって伝播、分化していったことがうかがえる。この地図を見て驚いたのは、地理的に近い津軽地方や秋田、山形にはなく、下北・県南地方から遠く離れた新潟に同じ言葉があったことだ。まず驚いて、その次に「あぁやはり!」という思いに変わり、海運の歴史浪漫にかられてしまった。
「すけ」「すて」「して」なにげなく使っていた「して」が「凄い物」のように思えた。(2004/4/27)
(1) 国立国語研究所 方言研究の部屋 研究開発部門第2領域地理的多様性グループ旧言語変化研究部第1研究室
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