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鼻欠け十王 むつ市・恐山
むがし、目名(めな)さ若者(わげもの)あって、恐山(おそれざん)で山さ入ってて木切ってらったど。
ある日、毎日(めぇにぢ)、なの仕事道具ば持ってあるぐのがてぎさなっまったどごで、地蔵堂(じぞうどう)の十王様(じゅうおうさま)さ「わいの道具ば預がってけさまい。」ってお願いして、置いで山がらおりだど。
むかし、目名(めな 東通村)にある若者がおり、恐山(おそれざん)で山に入って行って木を切っていました。
ある日、まいにち自分の仕事道具を持ちはこぶのがめんどうになり、地蔵堂(じぞうどう)の十王様(じゅうおうさま)に「わたしの道具をおあずかりください」とお願いして、おいて山をおりていきました。
次の日、来てみだっきゃ預(あんず)がってだはんずの道具がどごさいってまったんだがさ、そっくりなぐなってらったど。
はあ若者(わげもの)怒(おご)ってまって「やいや!きな、あれほんどお願いしてったのさ、なんぼ頼みがいのね十王様だ。きまやげるじゃ。」って、持ってだナダで十王様の鼻ばじゃぐっとそいでまったど。
次の日、来てみるとあずけていったはずの道具がどこにいってしまったのか全部なくなっていました。
若者はおこってしまい「きのう、あれほどお願いしていったのに、なんてたのみがいのない十王様だ。はらがたつなあ。」と、持っていたナタで十王様の鼻をざっくりそいでしまいました。
このわげもののせで十王様さ恨まいでまったんだがさ、ほいっからずもの目名のふとどが恐山さ登ば、大雨が降るんだど。へて、なんでも目名のふとば困らへで、ほのふとどが踏んだ土ば洗るんだず。
この若者のせいで十王様のうらみをかってしまったのか、それからというもの目名の人たちが恐山に登ると、大雨がふるそうです。そして、なんでも目名の人をこまらせて、その人たちがふんだ土を洗うんだそうです。
参考資料 東北電力株式会社『潮騒のうたが聞こえる』1982年 「鼻欠け十王」p10-p11
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