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むかし話を下北弁で

■ ももたろう

  はじめに   
  
    全文

■ 鼻欠け十王

■ あわびの恩返し

 

ももたろ(全文)

昔(むがし)、あるどごさ じっちゃどばっちゃどあったど。じっちゃ山さ芝刈さ、ばっちゃ川さ洗濯(せんだぐ)さ行ったど。

 

ばっちゃ 洗濯(せんだぐ)しちぇあったっきゃ、桃が 上(かみ)がら流れで来たず。ふとつ拾(ふら)って食ってみだっきゃ大しためふたして、うぇのじっちゃさも食(か)へてぇなあど思(も)って「めぇ桃こっちゃ来(か)せ、こっちゃ来(か)せ、苦ぇのあっちゃいげ。」ってへってらったっきゃ、大っきためそんた桃が流いで来たど。へて、ほの桃ばふらって家(え)さ持って帰ったど。

 

晩(ばげ)さになって、持って帰って来た桃ば出して、じっちゃどして食(く)べど思(も)ってほぢょで切る気ながったっきゃ、桃がばがっと割いで中がらめんこい男(おどご)わらしが出はってきたど。

じっちゃどばっちゃ たまげでまったたて、「うぇの家(え)さわらしねぇし、わいどで大事に育でびゃ」ずごとにしたど。へて、桃がらまいだしておどごわらしさ「ももたろ」って名前っこつけだど。

 

ままずっぱど食(か)へで、大事に育(そだ)でだっきゃ、ももたろ おがって一(ふと)つしかへば十(とお)わがるよんたさがしぃぐ力持ぢだあんちゃさなったど。

 

あるづぎ、からす ももたろ家(え)さ来て「鬼 あっちだの、こっちだのの村で物ば盗って、村のふとどさ乱暴してらでぇ。お姫様ばさらってってまったでぇ。」ってしかへだもんだどごで、ももたろ「こいだばわがね。わいが行がねば」ど思(も)って、じっちゃどばっちゃさ「鬼が島さ鬼退治さ行きてぇして、わいさ日本一のきび団子ば作ってけさまい」って頼んだど。

じっちゃもばっちゃも「わがね」「行がさな」って止めだずたって、行ぐってゆごど聞がねもんだもの仕方ねっきゃ。じっちゃどばっちゃ、刀(かだな)だの着物だの持ってぐものばそろげで、きびだんごど『日本一』って書いだ旗ばたながせで家(え)ば出してやったど。

 

村ば出るあだりば歩いてらったっきゃ、最初に犬さ会ったど。「やあ、ももたろさん。どごさ行ぐどごだべにし。」って。「わいが?鬼が島さ鬼退治によ。」「やあ、ほんだのがあ。へって、その腰さ付けでらの何だべにし。」って。「こいがあ?こいっきゃ日本一のきび団子だでぇ。こいあば、とんでもねだげも力でるんだに。」「ほいばわいさ一(ふと)つけねべが?」「おう!へば、なさけるして、行ぐののお供しろ。」

ど、まあこったふうにして犬がお供さなったど。

へって、次に山さ行ぐ方(ほ)で猿ど、最後に奥(おぐ)さ入ってきじど会って、きびだんごばけで、こらんどばお供さしたど。

んで、みなしてだんごを食(く)ながら野越え、山越え、海越えして鬼が島さ着いだど。

 

おがさ上がって鬼の住む城のでっけぇ門の前さ来たど。びだっと閉まってで開ぐふうもねぇもんだして、ももたろうが門ば開ぐようにへったたってに、そごはほれ、鬼ども簡単に開げでけるわげねっきゃ。

番兵(ばんぺ)してらった鬼がわんつか顔っこば出して、あがめっこしたもんだして、きじが飛んでってほの鬼の目ん玉ば突っついたど。その隙ばみで猿がするするど門ば上ってって中がら戸ば開げでけだおん。

 

門が開いだどごで、「それいげ!」って攻め込んでったど。番兵(ばんぺ)してら鬼だのそごらさいだった鬼どっきゃ、はぁ「なんだもかんだも大変だごとおぎだ。」、「おっかねの来た。」って大(おっ)騒ぎしながら奥(おぐ)さ逃げでってまったど。

そのづぎ、城の奥では鬼の大将どが酒(さが)盛りしてらどごだったど。「なんだがさ城の中さわがしぐなるし、下っぱの鬼どが大変だ大変だって逃げでくるし、なんだ?」ど思ったどごさももたろど来たおん。鬼の大将 なんもかも怒(おご)って、重でぐでっけ金棒ばぶんぶど振り回して、ももたろどさかがって来たど。

はぁこった、周りの鬼どもみなががりよ。

鬼どかがってきたたって、なにおっかねもんだず。ももたろどさかがったら、くそもおっかねものね。日本一のきびだんごば食ってきたもんだして、強ぇのなんのって。なんだもかんだもすごふた。きじ突っつぐし、猿かっちゃぐし、犬噛むし、ももたろ投げ飛ばすしで片(かだ)っ端がら鬼どばやっつけでまったど。

 

鬼の大将っきゃ、こいだばかなわねって「はぁ悪(わり)ぃごとしねして、どうが許してけさまい。」っておいおいど泣いで命乞いばしたど。「宝(たがら)物ばやるして助けでけさまい。」って。

したっきゃ、ももたろ「わいだっきゃ宝(たがら)物いらねじゃ。お姫様ばかえせ。」ってへってお姫様ば連れ戻したど。して、村さ連れでかえったど。じっちゃどばっちゃだっきゃ、ももたろが無事帰って来たして、はぁ喜(よろご)んで、喜(よろご)んで。

ももたろどのおかげで、ほいっからずものはあ、鬼どもふとのどごさ来て悪ぃごとしねぐなったど。

ももたろ お姫様ば嫁さして、幸せに暮らしたど。 

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作成更新:2006年3月31日

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