独立させて考える理由
旧南部藩領の言葉は、旧津軽藩の言葉に比べ分化が著しく、複雑であるのが特徴です。その方言区分は、青森県内だけでも下北、上北、三八の方言に分けられます。岩手県内では内陸北部、内陸中部、沿岸北部、沿岸中部の方言に分けられます。これに、秋田県鹿角地方の鹿角方言を加たものとなっています。
これはまるで東北地方のことばを一括りに「東北方言」と言っているのに似ています。あまりにも大雑把なくくりにすぎない。このような大きな括りからは、それぞれの土地の個性豊かな変化に富む方言の特性が見えてこないのです。そもそも、これほど複雑に分化した方言を一つの方言としてしまうには無理があるのではないでしょうか。それぞれの方言の特質を考えた上で分類するのが適切です。そんなことからも、青森県の方言を考える場合、少なくとも三ないし四分割〜の考え方をするのが適当だといえます。
ところで、何故に下北方言を独立させて考えるのでしょうか。それには理由がいくつもあります。以下に示したのはそのいくつかです。
1 歴史的背景
2 地理的背景
3 一人称に「わい」「わら」を用いるかどうか。
「おら」「おれ」を用いるかどうか。
4 「〜だから」の意味の「〜して」の使用。
5 丁寧表現の「さまい」「にし」の使用。
6 逆接の「〜だけれども」の意味の「〜たって」
「〜ばって」の使用。
7 日常用いるあいさつ表現の差異。
8 合拗音の出やすさ。
9 下北方言話者の南部方言へ帰属意識の希薄さ など
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